日本質量分析学会 第69回質量分析総合討論会会

プログラム

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特別講演

プログラム詳細

■特別講演1
新型コロナウイルスワクチンと抗体検査の現状
小原道法(東京都医学総合研究所)
■特別講演2
Applying Ambient Mass Spectrometry for Characterization and Imaging Neurotransmitters, Metabolites and Drugs on Whole Human Body Skin
Jentaie Shiea(国立中山大学)

学会企画講演

プログラム詳細

■学会企画講演
走査型プローブエレクトロスプレーイオン化法の開発研究
大塚洋一(大阪大学)

オーラルセッション

第1日 5月19日(水)【プログラム詳細
第2日 5月20日(木)【プログラム詳細
第3日 5月21日(金)【プログラム詳細

セッション概要

■セッション番号
1A-O1
■セッション名
天然物の多様性と質量分析
■オーガナイザー
越野広雪(理化学研究所)/澤竜一(微生物化学研究会)
■基調講演
及川英秋(北海道大学)
■開催趣旨
天然有機化合物は、動植物あるいは微生物が産生する代謝産物の総称で、香気、色素、呈味成分など身近なものから、医薬品のリード化合物、キノコや海洋生物の毒、ホルモンやフェロモンなど強力で選択制の高い生物活性を有するものも少なくない。生合成的な観点で分類してもポリケタイド、テルペノイド、アミノ酸、ペプチド、アルカロイド、フラボノイド、糖質、脂質など多様性に富んでいる。近年、生合成機構の解明も進み複雑な骨格形成の仕組みが理解され、生合成の酵素遺伝子を汎用性のある微生物などに導入して目的の天然物を大量生産することに加え、新規な天然物の人工的な創生も可能になってきている。質量分析はこのような天然有機化合物の微量での同定、構造解析、定量分析などに必須な手法であるが、その利用方法は天然物の多様性ゆえに多種多様である。様々な天然物化学の分野で利用されている質量分析に関し広く演題を募り、その現状と将来展望を議論する場としたい。
■キーワード
生合成、構造解析、フラグメンテーション、イメージング、デレプリケーション
■セッション番号
1B-O2
■セッション名
仮説構築のための統合オミクス
■オーガナイザー
小田吉哉(東京大学)/佐藤孝明(島津製作所・筑波大学プレシジョン・メディスン開発研究センター)
■基調講演
佐藤孝明(島津製作所・筑波大学プレシジョン・メディスン開発研究センター)
■開催趣旨
質量分析や次世代シーケンサー、情報科学の進化と共にゲノミクスやプロテオミクス、メタボロミクスが普及し、今や細胞抽出物から臨床検体に至る種々の試料に対して様々なオミクスが実施されている。しかしオミクスはあくまでも手段であって目的ではない。疾患メカニズム解明や医療応用などが目的である。つまりオミクスによって隠された扉を見つけて仮説を作ることが目的達成に向けた最初の一歩である。しかし1つのオミクスだけでは仮説構築には情報が足りないことが多々ある。またヒトを対象にした場合、例えば血漿検体だけでは新規メカニズムを推定することは難しいかもしれない。そこで幾つかの手段を組み合わせるために1種類の試料に対して複数のオミクスを行なったり、血液・尿など採取部位を変えて入手した複数種類の試料に対してオミクスを実施したりすることで仮説構築を目指すことが可能になるのだろうか、現状と課題について議論したい。
■キーワード
マルチオミクス、体系的オミクス、統合オミクス、仮説、メカニズム
■セッション番号
1C-O3
■セッション名
材料分析のための最新質量分析技術
■オーガナイザー
佐藤貴弥(日本電子株式会社)/山根祥吾(産業技術総合研究所)
■開催趣旨
近年の工業材料分野では、分子レベルでの制御を必要とする付加価値性の高い機能性材料の開発が進んでいる。質量分析は、このように多様化・高度化した工業材料の開発現場や製品の不良・劣化など様々な局面で化学的情報を得られる重要なツールである。質量分析装置やその関連技術も多様化しており様々な情報を得られるようになってきている一方で、それを実際の現場で活かすためには得られた分析結果を効率的に知見へと変換できるソフトウェアも重要な要素である。本シンポジウムでは、材料の質量分析の発展を支える様々な質量分析技術(前処理、イオン化、質量分離)およびその分析結果を活用する解析ソフトウェアの両面について発表を公募し、工業材料の質量分析について活発な議論とする場としたい。
■キーワード
工業材料、前処理(分離・精製)、イオン化、イオンモビリティ、高分解能MS、イメージング、データ解析
■セッション番号
1D-O4
■セッション名
加速器・イオンビーム利用技術および応用研究の新展開
■オーガナイザー
松崎浩之(東京大学)/角野浩史(東京大学)
■基調講演
土田秀次(京都大学)
■開催趣旨
加速器によって生成するイオンビームは、イオン成分の純度、エネルギーや方向の均一性などの特質により、高感度な元素・同位体分析に利用されている。放射性炭素(14C)年代測定に用いられる加速器質量分析はその一例である。しかし近年、加速器の小型化が進み、加速電圧は数100kVにまで下がってきた。一方、加速器を用いない質量分析計でも、多段四重極の導入や化学反応の利用によって存在度感度が加速器質量分析に迫ってきている。また、加速器を用いたMeV-SIMSとイオン銃を用いた低エネルギーイオンによるSIMSは、近年の技術革新により感度的に拮抗している。このような現状を踏まえ、本セッションでは、加速器ビーム利用、質量分析双方における、イオンビームの発生・制御・計測等の基礎技術開発の現状を概観する。さらに、環境動態解析研究から、基礎医療機序研究まで、イオンビーム応用研究の最新の成果を踏まえながら、新たなクロスオーバー領域の将来を展望する。
■キーワード
イオン加速器、加速器質量分析、先進質量分析、イオンビーム、環境動態解析、医療機序
■セッション番号
1E-O5, 3F-O16
■セッション名
若手研究者セッション:基礎研究の展望
■オーガナイザー
平 修(福島大学)/大坂一生(富山県立大学)
■開催趣旨
本セッションは、研究発表を通して、自己研鑽・PR、キャリア作り、思いで作りと多様性ある【若手研究者】が集まってもらえばと思う。質量分析はいまや様々な科学分野で用いられる手法になっている。つまり、質量分析データが一つでもあればご発表いただきたい。他者の発表には積極的に質問と議論をしていただき、将来、学会を一緒に背負う仲間を見つけてほしい。大学院生の発表はより歓迎する。将来、Principal Investigator(P.I.)を目指す方も望ましい。コロナ禍でどのように努力・工夫を重ねて研究活動を続けてきたか、熱意と情報を共有したい。
■キーワード
若手研究者、将来展望
■セッション番号
2A-O6
■セッション名
質量分析オミクス科学の標準化にむけた課題と展望
■オーガナイザー
三浦大典(産業技術総合研究所)/津川裕司(理化学研究所)
■開催趣旨
近年、AI分野に代表されるデータ解析技術の革新的向上により、これらを利活用したビッグデータ解析に注目が集まっている。メタボロミクス・リピドミクスでは生体サンプルの包括的な解析により様々な代謝物バイオマーカー探索が試みられているが、そのほとんどが実用化されていない。データサイエンスの視点による理由の1つとして、メタボローム研究の透明性および再現性、そしてデータの再利用性が、少なくともゲノム分野よりは遥に劣っていることが挙げられる。メタボロミクス・リピドミクス分野ではこのような背景のもと、(1)施設間の分析手法の差異や計測の日内・日間・施設間の差を標準化する方法、(2)得られた計測データを人為的なバイアスを最小限にして行うデータ処理技術、及び(3)得られた結果を集積するデータベースの研究開発により、今まさに「オミクスビッグデータ時代」へ突入するための基盤が構築されつつある。本セッションでは、質量分析オミクス科学の標準化にむけた最新の研究および課題と展望について精査し、産官学一体となった今後の取り組みについて議論したい。
■キーワード
メタボロミクス、リピドミクス、計測自動化、アノテーション、データベース
■セッション番号
2B-O7
■セッション名
生物由来物質・バイオ製品の質量分析の現状と展望
■オーガナイザー
新保和高(味の素株式会社)/川崎ナナ(横浜市立大学)
■基調講演
梶裕之(産業技術総合研究所)
■開催趣旨
動物細胞、植物や微生物など生物を利用した物質生産は、化学合成による製造が難しい生体高分子への適用だけでなく、持続可能な社会の実現ためにも重要な技術である。特に、ワクチン、バイオ医薬品、核酸医薬品、再生医療等製品に代表されるようなニューモダリティの創出は大きな注目を集め、その実用化に向けて日進月歩で様々な質量分析の手法が開発されている。また、少し視点を変えるとドーピングの分野においても、成長ホルモンやエリスロポエチンなど組換えタンパク質が使用されることもあり、それらの検出は重要な課題となっている。本シンポジウムでは、ワクチン、核酸医薬品、バイオ医薬品、再生医療等製品、血液ドーピングなど様々な医療用生物由来物質・バイオ製品の質量分析手法の現状と将来展望について広く演題を募り議論したい。
■キーワード
ワクチン、核酸医薬、再生医療等製品、バイオ医薬品、血液ドーピング
■セッション番号
2C-O8
■セッション名
質量分析が切り拓く地球外サンプルリターン試料の分析
■オーガナイザー
馬上謙一(北海道大学)/丸岡照幸(筑波大学)
■基調講演
奈良岡浩(九州大学)
■開催趣旨
地球外物質サンプルリターンミッションは1969年のApollo 11にて初めて月面着陸および月の岩石・砂を持ち帰ったことに端を発する。その後、数多くの研究者により月試料の詳細な岩石学的・化学的な分析が行われた。この時に質量分析は、月試料の年代測定や月形成史の解明において非常に重要な役割を果たした。その後、50年あまりが経ち、地球外物質の研究は多岐にわたり、質量分析技術も進歩し続けている。この20年、はやぶさ・はやぶさ2やOSIRIS-RExなど、サンプルリターンを伴う小惑星探査が次々におこなわれ、それに伴い、限られた試料から最大限の知見を得るための新しい分析装置や手法が開発された。本セッションでは、先端的な質量分析技術、最新の研究成果を紹介し、将来の惑星科学における質量分析の意義を討論したい。
■キーワード
はやぶさ2、OSIRIS-REx、サンプルリターンミッション、惑星科学、太陽系の起源と進化
■セッション番号
2E-O9
■セッション名
気相イオン化学の潮流:イオン化方法の開発とそのイオン化過程、励起過程、イオン反応
■オーガナイザー
竹内孝江(奈良女子大学)/二宮啓(山梨大学)
■基調講演
平岡賢三(山梨大学名誉教授)
■開催趣旨
このセッションでは, 質量分析学の根幹となるイオン反応を広くまた深く理解し、将来の研究へと発展させて行く機会としたいと思います。イオン化や励起過程、イオンの反応現象における理論的な理解の機会となる基調講演と、イオン化法やイオンの反応を駆使して、先端的研究で活躍している研究者や、今まさにイオン反応の理解を必要としている研究者からの講演を提供し、将来のイオン反応研究への指針となるディスカッションを望んでいます。イオン反応の潮流を読み解きます。
■キーワード
イオン化方法、イオン化/励起過程、気相イオン化学、反応機構、理論化学
■セッション番号
2F-O10
■セッション名
マススペクトルを正しく使うには?
■オーガナイザー
関本奏子(横浜市立大学)/本郷やよい(沖縄科学技術大学院大学)
■基調講演
荒 武(京都大学)
■開催趣旨
近年の質量分析技術やデータ解析技術の発展により、質量分析で大量に得られるマススペクトルデータを瞬時に解析し、欲しいデータへと自動的に加工・変換するアルゴリズムを基にソフトウェアが開発されている。この場合の解析要素は、マススペクトルの横軸(m/z)と縦軸(イオン強度)となる。したがって、横軸と縦軸の両方を正しく解釈することで初めて、スペクトルの意味するところを正しく理解することが可能になる。本セッションでは、研究上の実例を基に、解析前の生のマススペクトルを正しく見る重要性を議論すると共に、研究を進める上でのスペクトルを正しく使うコツを実例を挙げながら共有したい。
■キーワード
マススペクトル、イオン強度、定量、定性
■セッション番号
3A-O11
■セッション名
質量分析で捉える、新規臨床バイオマーカー
■オーガナイザー
前川正充(東北大学)/真嶋隆一(国立成育医療研究センター)
■基調講演
真嶋隆一(国立成育医療研究センター)
■開催趣旨
オミクス解析を中心とする革新的質量分析技術によって、ヒト生体内に多種多様な分子が存在することが明らかになってきた。その中には検出はされるものの、未だ構造が明らかでない分子も数多く存在する。生体変化を把握する指標、すなわち、バイオマーカーは医療の中では特に臨床診断において広く用いられる。近年、質量分析を駆使した構造解析技術の進歩や、質量分析の網羅性や感度の向上などに伴い、多くのバイオマーカー分子が同定され、医用応用されつつある。そこで、本セッションでは、質量分析を駆使した新たなバイオマーカーの発見・同定や、それらの定量に基づく診断法など、質量分析ドリブン型バイオマーカー研究に関する発表を募り、その有用性や課題について、広く議論したい。
■キーワード
バイオマーカー、同定、探索、定量、構造解析
■セッション番号
3B-O12
■セッション名
タンパク質、プロテオーム研究の最前線
■オーガナイザー
川村猛(東京大学)/小寺義男(北里大学)
■開催趣旨
プロテオミクスは生命科学研究において必須のものとなっている。質量分析計を用いたタンパク質研究ではタンパク質の同定が基本であり、装置、測定法、データ解析法は日々進化している。また翻訳後修飾、プロテオフォームの解析も重要なテーマである。応用分野でもがんを中心とした疾患から、現在はCOVID-19などの新興感染症も重要な標的になっていると考えられる。本セッションでは質量分析を用いたタンパク質研究、プロテオーム解析の最先端の技術や成果について紹介していただき、ディスカッションを行い、これからの方向性についても議論したい。
■キーワード
同定、定量、プロテオフォーム、データ解析、DIA、PTM、疾患・感染症、1細胞解析
■セッション番号
3C-O13
■セッション名
メタロミクス研究の最前線
■オーガナイザー
平田岳史(東大)/小椋康光(千葉大)/沖野晃俊(東工大)
■基調講演
沖野晃俊(東京工業大学)
■開催趣旨
メタロミクス(Metallomics)は、生体中の金属の機能と生理機能の体系化を目指す総合科学として2004年に原口紘炁先生(名古屋大学名誉教授)によって提唱された日本発の学問領域である。生体内にわずかしか存在しない微量の金属元素が、遺伝子の発現やシグナル伝達、あるいは代謝反応に関わるタンパク質に含まれ、その含有量や化学形態によって生理機能に大きな影響を与える。メタロミクス研究は、ゲノミクスやプロテオミクス、メタボロミクス研究と深く関連しており、これらの研究の統合的な解釈が疾患原因因子の同定や新規治療薬の開発に繋がるものと期待されている。現在、メタロミクス研究は一細胞レベルでの元素の局在分析や化学形態別分析、さらにナノ粒子のイメージング分析へと向かっており、質量分析法を基軸としたさらなる新規分析技術の開発が求められている。本セッションではメタロミクス研究の現状と課題に関する情報交換を行うとともに、質量分析法の最新の開発動向について議論する。
■キーワード
メタロミクス、無機質量分析計、化学種形態別分析、単一細胞計測、ナノ粒子計測
■セッション番号
3D-O14
■セッション名
分子構造を明らかにする質量分析技術
■オーガナイザー
七種和美(産業技術総合研究所)/浅川大樹(産業技術総合研究所)
■開催趣旨
質量分析はフラグメンテーションなどを利用した詳細な構造解析から生体超分子複合体の化学量論比の同定など様々な階層の構造解析に利用されている。また、近年のイオンモビリティ質量分析の台頭は分子の反応機構の解明や異性体の分離、生体高分子の高次構造解析など従来の質量分析では得られなった情報の取得を可能にしている。本シンポジウムでは、分子構造を解明するためのイオン化を含む装置開発、様々な分析手法やそれらを支える計算科学的な手法などの研究、さらにこれらの分析手法を利用したアプリケーションについて広く演題を募り議論したい。
■キーワード
生体分子、計算科学、イオン移動度、フラグメンテーション、イオン分子反応
■セッション番号
3E-O15
■セッション名
環境科学分野における質量分析
■オーガナイザー
川島洋人(秋田県立大学)/谷保佐知(産業技術総合研究所)
■基調講演
益永茂樹(横浜国立大学名誉教授)
■開催趣旨
質量分析技術は、環境科学分野において必要不可欠かつ有力な技術となっている。例えば、90年代のダイオキシン問題では最新の質量分析計を使うことで、全異性体分析が可能になり、発生源の識別が行われるなど、実用的な側面においても効果を発揮した。一方、安定同位体比質量分析計は、ガスクロマトグラフや元素分析計などと融合することで、簡易かつ高精度に様々な物質の同位体分析が行われており、現在、地球科学だけでなく、鑑識学分野、スポーツ科学分野、環境分野などにも応用研究が活発に進んでいる。本セッションでは質量分析や安定同位体分析を用いた環境分野における最新の講演やまた環境分野に限らず各種技術的な報告を募り、それらの新技術やその適用方法について討論したい。
■キーワード
微量分析、多成分一斉分析、ノンターゲット分析、ターゲット分析、安定同位体分析、大気・水・土壌環境、POPS

ポスター発表

第3日 5月21日(金)【プログラム詳細

ワークショップ

第2日 5月20日(木)【プログラム詳細
第3日 5月21日(金)【プログラム詳細

ワークショップ概要

■ワークショップ番号
2D-W1
■セッション名
LC/MSを用いた定量分析における課題と解決事例2021
■オーガナイザー
窪田雅之(日本ウォーターズ)/芹野武(アジレント・テクノロジー)
■開催趣旨
本セッションはコロナ禍で中止となりました第68回大会(2020年)で予定していたプログラムです。このセッションでは薬物動態、食品環境の定量分析でよく遭遇する課題と解決法、そして定量分析に用いる標準物質について議論します。3名の先生方による講演の後、20分間のパネルディスカッションを行います。
■キーワード
薬物動態、食品分析、環境分析、標準物質、LC-MS、定量分析
■ワークショップ番号
3B-W2
■セッション名
“ MS(エムエス) カフェ” コロナ時代のMS, Work Life & Passion