2007年度日本質量分析学会同位体比部会報告

同位体比部会長 長尾敬介

 2007年度の質量分析学会同位体比部会研究会は、部会始まって以来初めて北海道に渡り、札幌近郊の定山渓グランドホテルを会場として10月24日(水)から26日(金)まで開催された。初の北海道での開催のため、準備段階では参加者数の減少が懸念されていたが、最終的に参加者83名(一般39名・学生44名:うち質量分析学会員13名)、口頭発表30件、ポスター発表32件となり、前回を上回る参加者と発表申込みが集まった。今年は参加者の過半数が学生となるなど例年にも増して多くの学生の参加と発表があり、今後の発展を大いに期待させる研究会となった。
 今年度の特別学術講演は、北里大学医療衛生学部の島村匡(しまむらただし)先生にお願いした。「無機質量分析法と同位体分析」というタイトルで、無機質量分析・同位体質量分析の根本原理から、歴史的背景、環境科学への応用法にいたるまで平易に解説していただいた。さらに今年は新企画「EMS認定コンテスト」を開催した。参加者が日頃使用している同位体MSを、優秀同位体質量分析計(EMS)に推薦して評論し合う初の企画で、全部で23機の紹介があった。時にジョークもまじえながら予定の90分を大幅に超える170分に及ぶ白熱したコメントや質問のやり取りが深夜まで続いた。
 一般の口頭発表の発表時間は例年通り20分間とした。またポスター発表は発表時間を2時間としたほか、発表に先だって一件2分間のショートプレゼンテーションの機会を用意した。いずれも一般の学会発表に比べて長めの発表時間で、発表者と聴衆の双方に好評であった。学生に与えられる最優秀ポスター賞は菊池麻希子さん(広島大学大学院理学研究科・D1)、最優秀講演賞は若木重行さん(名古屋大学環境学研究科・D3)が獲得したほか、3名が優秀ポスター賞、1名が優秀講演賞に選出された。若木さんは二年連続の受賞となった。
 さらに部会の最終日午後には、エクスカーションとして北大内の質量分析設備の見学ツアーを実施した。オプション企画であるにもかかわらず研究会参加者の過半数を超える50名超が参加し、実機の前で「EMS認定コンテスト」を上回る白熱した質問の応酬が続いた。
 運営的には季節はずれの絶頂期の紅葉と晴天に恵まれた。またホテルのご厚意で札幌駅との往復に部会専用の無料送迎バスが運航された。さらに質量分析学会からの研究会開催補助は、研究会の充実に大いに役立った。次回(2008年度)の研究会は、名古屋大学の世話で開催されることが承認された。

日時

 2007年10月24日(水)から26日(金)(3日間)

場所

 定山渓グランドホテル(〒061-2302 札幌市南区定山渓温泉東4丁目)

参加者

 83名(一般39名、学生44名)(参加会員13名)

プログラム

 こちらをご覧ください。(PDF 940KB)

開催世話人

 角皆 潤、中川書子(北海道大学)