2008年度日本質量分析学会同位体比部会報告

同位体比部会長 長尾敬介

 2008年度の質量分析学会同位体比部会研究会は、名古屋大学の皆さんの世話で愛知県民の森(モリトピア愛知)を会場として11月5日(水)から7日(金)まで開催された。77名(一般39名・学生38名:うち質量分析学会員13名)の参加者があり、口頭発表27件とポスター発表35件の研究発表で情報交換や討論が行われた。今年も参加者の半数が学生となるなど、若い研究者の成果発表の場として定着しており、今後の発展が大いに期待される。
 今年度の特別学術講演は、東京工業大学原子炉工学研究所・藤井靖彦先生に「重元素同位体効果の異常な質量依存性-電子状態同位体効果の導入-」、名古屋大学年代測定センター・鈴木和博先生に「CHIME年代測定-その表と裏-」のタイトルでお話いただいた。最近重要性が認識され始めた非質量依存性同位体効果の発見のいきさつや、EPMAによる元素分析から鉱物年代を求める方法の開発とその裏話など、興味深いお話をわかりやすく解説していただいた。
 一般の口頭発表の発表時間は例年通り20分間とした。またポスター発表は一件1分間のショートプレゼンテーションと、夕食後の20時から23時まで3時間の討論時間をあてて、深夜まで熱心な意見交換がおこなわれた。いずれも一般の学会発表に比べて長めの発表時間で、発表者と聴衆の双方に好評であった。学生に与えられる優秀発表賞は、奥村文章さん(名古屋大学大学院環境学研究科)が最優秀講演賞と最優秀ポスター賞を受賞、田子修也さん(東京大学大学院理学系研究科)が優秀講演賞、優秀ポスター賞を加藤大輔さん(名古屋大学大学院環境学研究科)と酒井拓馬さん(名古屋大学大学院工学研究科)が受賞した。今回も、賞の大半を名古屋大学が獲得した。
 最近行われたことの無かった屋外でのバーベキュー懇親会も、懸念された雨も降らず、大いに盛り上がった。部会終了後に行われた名古屋大学年代測定センター見学会にも22名の参加者があり、放射性炭素年代測定用タンデム加速器質量分析計やCHIME年代測定の設備について説明を受けたり熱心な質問が続いた。今回の充実した部会開催は、名古屋大学の多くの方々のご協力のたまものであることを記して感謝する。さらに質量分析学会からの研究会開催補助は、研究会の充実に大いに役立った。次回(2009年度)の研究会は、東京大学の世話で開催されることが承認された。

日時

 2008年11月5日(水)から7日(金)(3日間)

場所

 愛知県民の森(モリトピア愛知)(〒411-1693 愛知県新城市門谷字鳳来寺7-60)

プログラム

 こちらをご覧ください。(PDF 304KB)

参加者

 77名(一般39名、学生38名)(参加会員13名)

2008年度開催世話人

 代表 田中剛(名古屋大学)