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趣意書
 日本質量分析学会の年一度の最大の年会である第59回日本質量分析総合討論会を2011年9月13日(火)~15日(木)の3日間、大阪府吹田市にあるホテル阪急エキスポパークを会場として開催いたします。2012年開催予定のThe 19th International Mass Spectrometry Conference (Kyoto)に向けて、開催時期を従来の春開催から9月の秋開催へと変更しています。

 質量分析は、1913年に刊行された”Rays of Positive Electricity and Their Application to Chemical Analysis”にあるJ.J.Thomsonのパラボラ型の質量分析法が初めと言われています。この時すでに、m/zの測定からの応用が示唆されています。質量分析法は孤立した完全な化学反応の実験室として、化学反応に関しての膨大な情報を与え、現在でもその研究がますます進展しています。また、質量分析法が他の機器分析装置では得られない微量分析能力を持つために、J.J.Thomsonの時代には考えられなかったような非常に多くの応用科学における展開がなされています。質量分析学は、物理学、化学、生物学、生命科学、薬学、医学などの研究に基礎を置きつつ、質量分析法は材料科学、食品科学、健康科学、犯罪捜査、テロ対策などに関連した様々な広範囲の分野での必須の技法となっています。質量分析学の基礎科学では、前処理、イオン化、質量分離、イオンの反応、検出、データ処理、情報解析と種々な分野での研究や開発の進展によって、研究に関わる分野での大きな発展をし続けています。同時にこれらの発展が質量分析法の広範囲な応用への展開へと繋がっています。例えば、ノーベル賞を受賞したイオン化法の開発が契機となり、医学・薬学を含む生命科学の発展につながっています。近年では、電子移動に関する反応がイオンの構造解析に新たな展開を見せ、前処理・質量分離・検出器の総合的な発展がイメージング質量分析法の開発へと繋がっています。このように基礎的な科学と種々な応用とが緊密に結びついている学問分野は他に例を見ません。質量分析がこのような特徴を持つため、質量分析総合討論会には全国の国立・公立・民間の大学や研究機関だけでなく、多くの国内外の企業からも多数の研究者が参加されています。口頭発表やポスター発表を通じて最新の研究結果が発表されると同時に種々な情報交換も行われています。

 第59回日本質量分析総合討論会に是非参加され、研究成果を発表し質量分析学の発展に寄与するとともに、質量分析法の発展を学ぶことにより次世代への展開につなげていただきたいと願っております。若手の育成を期すために、一般応募の発表から10件程度のベストプレゼンテーション賞を出すことを企画しております。また、展開の一つとして、本討論会とともに第36回日本医用マススペクトル学会年会が9月15日(木)16日(金)に同じ会場で同時開催されます。
第59回質量分析総合討論会
実行委員長 早川 滋雄


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