2002年度質量分析講習会初級者およびアドバンストコース報告

 質量分析学会主催の質量分析講習会初級者およびアドバンストコースが11月26日〜27日、東京・御茶ノ水の化学会館で行われました。従来、秋の講習会はアドバンストコースを2コース行うことになっていましたが、今回はアドバンスコースと初級者コースを並走して開くことにしました。これは、6月に行った初級者コースで受講希望者が多く、たくさんの方にお断りしなければならなかったので、同じ講師陣でその穴埋めを行いました。
アドバンストコースのテーマは「最新マススペクトロメーターによる有機化合物の構造解析法」としました。最近のマススペクトロメーターの進歩により、有機物の構造解析法もだいぶ様変わりしてきた感があります。例えばいわゆるミリマス測定も、従来は二重収束の磁場型装置により、スリットを絞りに絞って分解能を上げて測定するのが普通でしたが、最近ではTOF型MSの分解能と精度が向上したため、それほど苦労せずに分解能を上げてミリマス測定やCHNOの算出が出来ます。そのため、ESIやMALDIモードでのミリマス測定も容易に行えるようになってきました。また、イオントラップ型のMSが比較的安価に購入できるようになり、この装置の特徴であるMSnが容易に行えるので、未知物質の構造解析には有力な測定装置になっています。
その一方で、有機物の構造解析をMSで行う上での基本事項であるフラグメンテーション解析もESIやMALDIで出現するプロトン化分子のフラグメンテーションを考えなければならなくなっています。
そこで、これらの状況を考慮し質量分析学会とっておきの先生方に講師をお願いしました。
詳細はプログラムを参照していただければお分かりのように、最初の原田健一先生(名城大)のオーバービューから始まり、最後の中田尚男先生(愛知教育大名誉教授)まで、かなり中身の濃いプログラムとなっています。また、田中耕一さんがノーベル賞授与式出発直前にもかかわらず、トラップーTOFMSによる糖鎖構造解析の話をしてくれました。ノーベル賞受賞者が講習会の講師というのも、そうざらにある話ではないので、受講者には非常にラッキーな企画になったものと自負しています。
受講者のレベルも高く、中には以前この講習会の講師を務めて頂いた方などもいらっしゃいました。質問時間をたっぷり取ったため、多くの質問があり、それに対し講師の先生方が丁寧に回答されている場面が、非常に印象的でした。
初級者コースは今回も人気が高く、定員を越える状況でした。6月にも同じ講師陣で講習を行っていますが、今回の講習では受講者のレベルが高かったのか、質問もかなり高度なものが多かったように感じました。6月の受講者には部署に配属されたばかりの人も多く、まだMSを触ったことがない人もいましたので、無理もないものと思います。
最後に、この講習会でいつも写真を撮って記録してくれている志田保夫先生(東薬大)の作品を添付しますので、雰囲気を感じ取っていただけたらと思います。

日本質量分析学会・講習会委員長
                         橋本 豊



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