■基礎コース |
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各種イオン化法の解説 (益田勝吉、(財)サントリー生物有機科学研究所)
- 質量分析計の概要について
質量分析計の構成とその種類を紹介し、さらに分子のイオン化の基礎および質量分析計から得られる情報などについて説明する。
- 各種イオン化法について
各種イオン化法の歴史について紹介し、利用頻度の多いイオン化法として電子イオン化(EI)、化学イオン化(CI)、電界脱離(FD)、高速原子衝撃(FAB)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)などのイオン化法の原理や特徴について、スペクトルを見ながら解説する。
- 質量分離部との組み合わせについて
質量分離部の種類を紹介し、各種イオン化法と質量分離部の組み合わせについて説明する。
各種質量分析装置の解説 (石原盛男、大阪大学)
MALDI-TOFMS の原理と装置開発の基礎
(田中耕一、株式会社 島津製作所)
マススペクトルの読み方 (堀山志朱代、武庫川女子大学)
- マススペクトルの見方
マススペクトルの縦軸と横軸は何を表わしているのか、イオンの種類や名称など、はじめてマススペクトルを見る人にもわかりやすく、マススペクトルの見方の基礎を説明する。
- イオンの観測質量の呼び方
マススペクトルから読みとることができるイオンの観測質量についてモノアイソトピック質量、平均質量、整数質量などについて、その違いを説明する。
- よいマススペクトルとは
得られたマススペクトルが、データとして適切かどうかを判断するポイントについて説明する。
フラグメンテーションの基礎 (竹内孝江、奈良女子大学)
マススペクトルに現れるフラグメントピークのm/z 値とイオン強度から分子構造を解析をするときに必要となる「フラグメンテーションのルール」に関する経験則と理論を紹介し、マススペクトルを解釈する過程を解説する。
- イオンの内部エネルギーとフラグメンテーション
- ホモリティック開裂(α -開裂)とヘテロリティック開裂(i -開裂)
- McLafferty転位と“distonic ion”
- ion-neutral complex
- プロトン化分子などの偶数電子をもつイオンからのフラグメンテーション
- MS/MSにおけるフラグメンテーション
- マススペクトルの理論的予測
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■応用コース1 (プロテインマススペクトロメトリー) |
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配列データベース検索による蛋白質の同定 (吉野健一、神戸大学)
- 質量分析法と配列データベース検索による蛋白質の同定法の種類と概要
ペプチドマスフィンガープリンティング法、Mascot MS/MS Ions SearchやSEQUEST法に代表されるプロダクトイオンマスリストを用いた検索法、およびde
novoで部分配列を解析したデータ用いるペプチドシークエンスタグ法の概要を説明する。
- データベース検索ソフトを用いた翻訳後修飾基の同定
データベース検索ソフトを用いた蛋白質の翻訳後修飾基、特にリン酸基を同定するための方法を、リン酸化蛋白質から実際に得られたスペクトルを例にあげて説明する。
- 検索結果の検証
検索結果に表示されている各データ項目からどんなことが解るのか、検索結果をどう理解したらよいのか、スペクトルデータを用いた検索結果の検証、そしてデータベース検索の「落とし穴」について解説する。
蛋白質翻訳後修飾基の解析 (高尾敏文、大阪大学)
- 蛋白質翻訳後修飾の種類と概要
蛋白質の生理機能に深く関与する様々な翻訳後修飾の構造や機能に関して概説する。
- 質量分析によるに翻訳後修飾基の検出と同定
MALDIやESI法による修飾されたペプチド・蛋白質の測定と同定法について実例を示しながら解説する。
- MS/MSによる修飾基の構造解析
脂質や糖鎖等のMS/MSにおけるフラグメンテーションの特徴を解説し、実際の構造解析例を最新のデーターをもとに紹介する。
臨床プロテオミクス (中西豊文、大阪医科大学)
- タンパク質を解析するには先ず標的タンパク質をいかに効率よく分離精製できるかが鍵を握っているといっても過言ではない。従来、親和性カラムクロマト法が汎用されてきたが、迅速性に欠ける。また、目的タンパク質を変性条件下でしか回収できない。我々は、その欠点を補う免疫沈降法を用いて臨床材料より目的タンパク質の分離精製し、ソフトイオン化質量分析法を用いて疾患関連変異タンパク質の検出・同定・定量を行ってきた。
本講習会では、これまでの実験例を交えて解説する。
FT-ICR MSの基礎とトップダウンプロテオミクス (内藤康秀、大阪大学)
- FT-ICR MSの基礎と特徴
FT-ICR MS(フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析)の原理や基本操作などの基礎、ならびにトップダウンプロテオミクスを実現する様々な特徴や機能について解説する。
- トップダウンプロテオミクスの概要
「トップダウンプロテオミクス」とは何か、従来の「ボトムアップアプローチ」との比較や、なぜトップダウンプロテオミクスは有益なのか、またトップダウンプロテオミクスで必要とされる技術的要件について解説する。
- FT-ICR MSによるトップダウン解析例
実際のトップダウン解析の流れやトップダウンプロテオミクスの狙いについての理解を深めるため、実施例を幾つか選んで紹介する。また現状での限界や問題点についても解説する。
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■応用コース2 (薬物動態マススペクトロメトリー) |
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LC-MS法の基礎 (溝奥康夫、(株)住化分析センター)
- LC-MSのイオン化
現在LC-MSでもっとも用いられているイオン化法であるエレクトロスプレーイオン化法(ESI)と大気圧化学イオン化法(APCI)についてそれらの特徴などを比較しながら解説する。
- LC-MSのLCについて
LCの分離方法とLC-MSとの相性やLC-MSでの移動相について注意点などを含めて解説する。
- LC-MSの応用例
カラムスイッチングなどLC-MSを用いた応用例を紹介するとともに,LC-MS測定での留意点についても説明する。
MSによる構造解析 (戸塚善三郎、(株)日本医学臨床検査研究所)
- プロトン化分子とそのフラグメンテーション理論
EIのラジカルカチオンと異なり、現在用いられているイオン化法であるCI, FAB, MALDI, ESI,
APCIのプロトン化分子とそのフラグメンテーションについて解説する。
- Selected reaction monitoring (SRM)
data dependent exclusion MSn measurement
LC-MSの機種によりMS/MSは異なり、Ion Trap MSで上記理論に基づいて開発したSRM data
dependent exclusion MSn measurementは、従来法より数倍多い有益な構造情報が得られる。
- 薬物の代謝反応とMS
CYPサイクル反応で生じた活性酸素ラジカルの薬物代謝反応性、第2相抱合反応のMSの特徴を解説する。
- MSによる構造解析の実施例
いろいろなタイプの薬物のLC-ESI/MSを用いた構造解析の実施例を紹介するとともに,LC-MSによる構造解析の留意点についても説明する。
MSによる定量解析 (井上則子、(株)日本医学臨床検査研究所)
- LC-MS/MSを用いた定量
LC-MS/MSを用いてどうやって定量するのか、MSでの測定の流れ、LC-MS/MSによる定量分析の利点について説明する。
- 実際の定量分析の進め方
LC-MS/MSでの定量分析法を確立するための手順について、a) モニターイオンの決定 b) イオン源の選択
c) MS/MS条件の最適化 d) LC条件の設定 e) 前処理法の検討の各段階に分けて解説する。
データ取得の基礎とそのバリデーション (手島浩一郎、武田薬品工業(株))
- LC-MS/MSを用いた定量法を開発するためのデータの取得法
Selected reaction monitoring(SRM)法を用いた、生体試料(血漿・尿など)中の薬物あるいはその代謝物の高感度定量分析法を開発するために、(1)MS装置の保守 (2)一般的な定量法の立ち上げ及び定量法開発の際の注意点 (3)より高感度に測定するための手法 について説明する。
- 定量法のバリデーション
FDAガイダンスに基づいてバリデーションを実施する際の必要な試験項目((1)特異性 (2)真度・精度 (3)回収率
(4)検量線 (5)安定性)について説明する。
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