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2011年度 同位体比部会(韓国、23-25 November, 2011)

2011年度 同位体比部会報告

同位体比部会長 長尾敬介

2011年度の質量分析学会同位体比部会研究会は、韓国・釜山の海雲台グランドホテルで11月23日(水)から25日(金)まで開催された。これは、2002年に韓国・済州島で行われた日韓合同部会に続くものであり韓共同開催の学術的あるいは工学的意義の高さから第2回の開催が重要であるとの共通認識をもち、田中剛氏(名古屋大学)とCHO Moon Sup氏(ソウル国立大学)を日韓の代表として2009年から準備を進めてきた。また、CHO Moon Sup氏からの要望により、韓国での取り組みがまだ不十分な地球化学的手法を用いた火山活動の研究に関するシンポジウムも、通常の部会に先立って初日の午前に開催された。さらに、昨年試みられた、ハードウエアに関する基礎的知識の習得と最新の装置開発動向に関する視野の拡大を目的としたプレゼミも初日午後に開催された。今年のプレゼミでは、代表的な4つの無機質量部分析計における「最近10年間のブレークスルー」を紹介して、急速な装置開発や性能の進歩と、その応用展開を議論する場となった。

 今回の日本側参加者は46名(一般26名・学生20名:うち質量分析学会員13名)と少なかったが、韓国側から学生を含む多くの参加者があり100名近い規模となり盛況であった。プレゼミの4件を含めた24件の口頭発表とポスター発表29件の研究発表で情報交換や討論が行われた。今年度の特別学術講演は、ソウル国立大学のYoungsook Huh教授(講演タイトル:In search of isotopic proxies for continental weathering)と、大阪大学の松田准一教授(講演タイトル:The isotopic evolution model of mantle-atmosphere system: Osaka model)に講演頂き好評であった。今回は海外で開かれたタイトなスケジュールであったが、講演時間は20分間、ポスター発表は2日に分けてそれぞれ1時間半をあてて十分な討論時間を確保した。従来同様に、学生の発表者を対象とした同位体比部会らしい発表に対する発表賞を設け、口頭発表賞は岡林識起さん(京都大学・D1)と中田亮一さん(広島大学・D1)、ポスター発表賞は松田伸太郎さん(東京大学・D3)と長 勇一郎さん(東京大学・D1)、好印象賞はMi Kyung CHOOさん(韓国極地研究所・D3)が受賞した。受賞者には記念としてトロフィーをプレゼントした。期間中の研究に関する情報の交換および討論に加えて街の居酒屋での懇親会なども通じて、今後の両国における研究交流と研究者育成に大きな効果が期待できる研究会であった。

 今回の部会開催では、韓国側の韓国地質資源研究院(KIGAM)の李承求氏と韓国極地研究所(KOPRI)の李鐘益氏には、会場となるホテルの選定と交渉からお世話になりました。さらに、両機関のスタッフの方々にはアブストラクト作成や会場設営から受付作業など研究会運営に関する全ての作業を行っていただいたことを記して感謝します。  2012年度の同位体比部会は東北大学・中村智樹氏の世話で、仙台近辺で開催することが承認された。

日時:2011年11月23日(水)から25日(金)(3日間)
場所:韓国・釜山の海雲台グランドホテル
プログラム:(PDFファイル参照
参加者:日本側46名(一般26名・学生20名:うち質量分析学会員13名)、
     韓国側約50名